デザインのおすすめ本は?「見た目」ではなく「考え方」を学ぶ2冊|虹色のタコになれ!第16回【推薦図書】

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デザインのおすすめ本は?「見た目」ではなく「考え方」を学ぶ2冊|虹色のタコになれ!第16回【推薦図書】

よく、

「デザインを勉強したいのですが、おすすめの本はありますか?」

と聞かれることがあります。

デザインに関する本は、本当にたくさんあります。

  • PhotoshopやIllustrator、Figmaなどの使い方を解説した本
  • 配色やレイアウトのテクニックをまとめた本
  • 優れたWebサイトや広告を集めたデザイン集
  • UI・UXの事例を紹介した本

どれも役に立つと思います。

私自身も、デザイン集を見ることはあります。

ただ、

「デザインそのものを学びたい」

という人に何か一冊おすすめするとしたら、私は少し違う本を紹介します。

なぜなら、デザインで本当に必要なのは、

「どう作るか」よりも、「なぜそうするのか」を考える力

だと思っているからです。

今回は、「虹色のタコになれ!」番外編として、私のデザインの考え方にも大きな影響を与えた2冊を紹介します。


「かっこいいデザイン」をたくさん見れば、デザインは上手くなるのか?

デザイン集を眺めていると、

  • 「かっこいい」
  • 「おしゃれ」
  • 「こんなサイトを作ってみたい」

と思うことがあります。

もちろん、それ自体は悪いことではありません。

さまざまな表現を見ることで、アイデアの引き出しは増えます。

ただ私は、それだけではデザインを学んだことにはならないと思っています。

AppleのWebサイトを真似しても、Appleにはならない

たとえばAppleのWebサイトを見て、

「かっこいいから、この感じを真似してみよう」

と思ったとします。

  • 大きな写真を使う。
  • 文字を大きくする。
  • 余白をたくさん取る。
  • スクロールに合わせて動きをつける。

そうすれば、見た目は少しAppleっぽくなるかもしれません。

でも、それ以上にはなかなかなりません。

なぜなら、

なぜAppleがそのデザインを採用しているのか

を理解していないからです。

Appleと自分が作っているサービスでは、

  • 商品が違う
  • ユーザーが違う
  • ブランドが違う
  • 情報量が違う
  • ユーザーにしてほしい行動が違う
  • サービスの目的が違う

当然、条件が違います。

条件が違えば、最適なデザインも違います。

見た目だけを持ってきても、そのデザインが生まれた理由までは持ってこられません。


「かっこいい」は、デザインの目的ではない

少し強い言い方をすると、

「かっこいい」は趣味です。

  • 「かわいい」
  • 「スタイリッシュ」
  • 「高級感がある」
  • 「私はこの色が好き」

こうした感覚そのものを否定するつもりはありません。

デザインには表現も必要ですし、美しさも大切です。

ただし、仕事としてデザインをするとき、

「自分が好きだから」だけでは判断できません。

デザインで考えるのは「誰に、何を、どう伝えるか」

私がデザインするときに考えているのは、たとえば次のようなことです。

  • 誰が使うのか
  • その人は何に困っているのか
  • 何を伝えたいのか
  • 何を最初に見せるのか
  • どの順番なら理解しやすいのか
  • 最終的に何をしてほしいのか
  • どうなれば成功なのか

色や文字や写真や余白を決めるのは、そのあとです。

つまり、

見た目を作る前に、すでにデザインは始まっています。


良いUIは「デザインを意識させない」

私は、WebサイトやUIを見たとき、

「このサイト、かっこいい!」

と思うことよりも、

何も考えずに使えること

のほうが大切だと思っています。

どこを押せばいいのか迷わない。

説明を何度も読み返さなくていい。

欲しい情報がすぐに見つかる。

自然に選択できる。

そして、次の行動へ進める。

ユーザーがデザインそのものを意識しなくても使える。

それこそが、UI・UXデザインの重要な役割だと考えています。

デザインは主役ではない

デザインは、ユーザーに

「すごいデザインですね」

と言わせるためだけに存在するものではありません。

商品を理解してもらう。

  • サービスを利用してもらう。
  • 必要な情報を見つけてもらう。
  • 迷わず行動してもらう。
  • そのための手段です。

だから私は、

「完成された見た目」を集めた本より、「なぜそうするのか」を考えられる本

をおすすめしたいのです。


おすすめの1冊目『美の構成学―バウハウスからフラクタルまで』

最初に紹介したいのが、三井秀樹さんの

『美の構成学―バウハウスからフラクタルまで』

です。

最新のWebデザインが載っている本ではありません。

Figmaの使い方も載っていません。

そのまま使えるUIパーツもありません。

それでも、私はデザインに携わる方に一度読んでほしいと思っています。

「なぜ美しく見えるのか」を考える

この本を読む面白さは、

美しさを「感覚」だけで終わらせずに考えられること

です。

  • なぜ、まとまって見えるのか。
  • なぜ、バランスよく見えるのか。
  • なぜ、この形は心地よく感じるのか。

構成や比率、形、秩序などについて知ることで、

これまで

「なんとなくいい」

と思っていたものを、別の角度から見ることができます。

「センスがいいですね」で終わらせない

私は昔から、

「センスがいいですね」

という言葉に少し違和感がありました。

もちろん、褒めていただけるのは嬉しいです。

ただ、

「センスだから」

で終わってしまうと、再現することができません。

それよりも、

  • 「なぜ、このレイアウトなのか」
  • 「なぜ、この余白なのか」
  • 「なぜ、ここを大きくするのか」

を説明できるほうが重要だと思っています。

これは「虹色のタコになれ!」で紹介した、

第2の足「構成」

にもつながる考え方です。

デザインを「感覚」から「考え方」へ移してくれる本として、おすすめしたい一冊です。

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おすすめの2冊目『改訂新版 書く技術・伝える技術』

もう一冊は、少し意外かもしれません。

倉島保美さんの

『改訂新版 書く技術・伝える技術』

です。

タイトルの通り、文章について書かれた本です。

「デザインのおすすめ本なのに、文章の本?」

と思われるかもしれません。

でも私は、デザイナーにこそ読んでほしいと思っています。

デザインも文章も「伝えるためのもの」

Webサイトを作るとき、私たちは画面をきれいにしているだけではありません。

たくさんある情報の中から、

  • 何を最初に伝えるのか
  • どの順番で伝えるのか
  • 何を見出しにするのか
  • どこを詳しく説明するのか
  • 何を削るのか
  • どこで行動してもらうのか

を考えます。

これは、文章を書くときも同じです。

どちらも、

相手が理解しやすいように情報を整理する仕事

です。


Webデザインと文章には共通点が多い

たとえばランディングページを作るとき、

上から思いついた順番に情報を並べることはありません。

まず、

「このサービスは何なのか」

を伝える。

次に、

「自分に関係があるのか」

を理解してもらう。

そのあと、

  • 「どんなメリットがあるのか」
  • 「本当に信用できるのか」
  • 「料金はいくらなのか」

といった疑問に答えていく。

最後に、

  • 「問い合わせる」
  • 「購入する」
  • 「申し込む」

といった行動につなげる。

読み手の頭の中を想像する

大切なのは、

こちらが伝えたい順番ではなく、相手が理解しやすい順番

です。

これは文章を書くときも、UIを作るときも変わりません。

「虹色のタコになれ!」でいう、

第5の足「情報設計」

そのものです。

私は『書く技術・伝える技術』を、

文章を書くためだけの本ではなく、

「情報をどう整理すれば、人に伝わるのか」を考える本

として読んでいます。

デザイナーだけではなく、

  • Webディレクター
  • マーケター
  • プロダクトマネージャー
  • 編集者
  • 企画職
  • Web担当者

など、情報を人に伝える仕事をしている方にもおすすめです。


デザインの本なのに「デザイン本」ではない理由

今回紹介した2冊には、共通点があります。

どちらも、

「これを真似すれば完成します」

とは教えてくれません。

代わりに、

「なぜそう見えるのか」

「どうすれば伝わるのか」

を考えるきっかけを与えてくれます。

私は、そのほうが長く使えると思っています。

ツールや流行は変わる

私がWebデザインを始めた頃と今では、使うツールも大きく変わりました。

デザインの流行も変わりました。

Webサイトの作り方も変わりました。

そして今は、AIを使えば短時間で「それっぽいデザイン」を作ることもできます。

でも、

  • 情報をどう整理するか
  • 何を優先するか
  • どうすれば理解しやすいか
  • なぜ、このデザインにするのか

という部分は変わりません。

むしろAIの時代だからこそ、

「作る力」以上に「判断する力」が重要になる

と私は考えています。


デザイン集を見るときも「なぜ?」を考える

ここまで読むと、

「では、デザイン集を見る意味はないのか?」

  • と思うかもしれません。
  • そんなことはありません。
  • 私もデザインを見るのは好きですし、参考にもします。

ただ、

「かっこいい」

だけで終わらせないようにしています。

「いいな」と思ったら分解してみる

気になるデザインを見つけたら、少しだけ考えてみます。

  • なぜ、この文字サイズなのか
  • なぜ、ここに余白があるのか
  • なぜ、この色なのか
  • なぜ、この写真なのか
  • なぜ、この順番なのか
  • なぜ、このボタンがここにあるのか

そうやって分解すると、

単なる「好きなデザイン」が、

自分の中の判断材料

に変わります。

真似するのではなく、理由を考える。

これだけでも、デザインの見方はかなり変わります。


「答え」を集めるより、「判断基準」を増やす

デザインには、毎回違う条件があります。

  • ユーザーが違う。
  • サービスが違う。
  • 目的が違う。
  • 課題が違う。

だから、

「このデザインが正解」

というものをたくさん覚えても、別の仕事でそのまま使えるとは限りません。

大切なのは、

目の前の条件から、自分で答えを考えられること

です。

そのために、

  • 色彩を知る。
  • 構成を知る。
  • 視覚の仕組みを知る。
  • タイポグラフィを知る。
  • 情報設計を知る。

そして、

「なぜ、このデザインなのか」

を自分の言葉で説明できるようになる。


本から「完成形」ではなく「考え方」をもらう

今回紹介した2冊は、

「この通りに作れば、かっこいいデザインになります」

という本ではありません。

でも私は、それがいいと思っています。

本から完成された答えをもらうのではなく、

考えるための視点をもらう。

そして、自分が担当するユーザーやサービスに合わせて、その考え方を使う。

それは、

環境や目的に合わせて姿を変える、

「虹色のタコになれ!」

という考え方にもつながります。

「おすすめのデザイン本はありますか?」

と聞かれたら。

私は、見た目の答えがたくさん載っている本より、

「なぜ?」を考えられるようになる本

をおすすめします。

デザインをこれから学ぶ方にも。

すでにデザインの仕事をしている方にも。

今回紹介した2冊が、デザインを見る目を少し変えるきっかけになれば嬉しいです。

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