今回は、少しデザインから離れた話をします。
長く会社員として働き、組織をつくる側にも関わり、今は独立して仕事をしている自分が、あらためて「会社で働くとはどういうことなのか」を考えてみたいと思います。
特に、これから社会に出る人や、今の会社で働き続けることに少し迷っている人に読んでもらえたら嬉しいです。
仕事とは、自分の人生の時間を使うこと
働くことを考えるとき、私はいつも一つのことを思います。
仕事とは、自分の貴重な人生の時間を、その会社に使うことです。
1日8時間働けば、起きている時間のかなりの部分を仕事に使います。
だから私は、「給料をもらえるから」という理由だけで会社を選ぶのは、少しもったいないと思っています。
もちろん、お金は大切です。仕事には正当な報酬が必要です。
ただ、
お金だけのために働くには、仕事に使う人生の時間はあまりにも長い。
それなら、
「この会社なら、自分の人生の時間を使ってもいい」
そう思える場所で働いたほうがいい。
私はそう考えています。
理念やミッションは、きれいな言葉ではない
会社には、理念やビジョン、ミッションがあります。
でも本来、それは会社のホームページに載せるための「きれいな言葉」ではありません。
この会社は、何のために存在しているのか。
その根本を示すものです。
たとえば、
- 誰のために仕事をするのか
- 何を大切にするのか
- 何をつくるのか
- 何をしないのか
- 迷ったときに、どちらを選ぶのか
そうした判断の基準になるものが、理念やミッションだと思います。
だから会社側は、理念を掲げるだけではなく、社員が判断に使えるところまで明文化し、共有していく必要があります。
そして働く側も、そこに共感できるかを考えたほうがいい。
「郷に入っては郷に従え」の前に、郷を選ぶ
私は、会社に入るということには、ある程度「郷に入っては郷に従え」という側面があると思っています。
会社には、その会社なりの価値観があります。
仕事の進め方も、顧客への向き合い方も、意思決定の方法も違います。
そこに入った以上、
「私はそう思わないから」
だけでは、組織として仕事はできません。
ただし、これは「会社の言うことには何でも従え」という意味ではありません。
むしろ逆です。
だからこそ、入社する前に会社を選ぶ
自分は、その会社が目指しているものを信じられるのか。
- その商品やサービスに価値を感じるのか。
- その人たちと同じ方向を向いて働きたいと思えるのか。
そこを考える必要があります。
入社してから会社の根本的な価値観と戦い続けるくらいなら、自分が信じられる会社を探したほうがいい。
私は、転職とは単に給料や肩書きを変えることではなく、
「自分の人生の時間を、どこに使うのか」を選び直すこと
でもあると思っています。
「ここで働け」ではなく「ここで働きたい」
一方で、会社側にも責任があります。
社員をルールや管理で縛らなければ維持できない組織は、あまり健全ではありません。
理想を言えば、
「ここで働け」ではなく、「ここで働きたい」
と社員自身が思える会社であってほしい。
待遇だけでもない。
福利厚生だけでもない。
- 会社が目指しているもの
- 一緒に働く人たち
- 仕事の進め方
- 挑戦できる環境
- 日々つくられていく文化
そうしたものを含めて、
「この人たちと一緒に仕事がしたい」
と思えること。
それが、強い企業文化なのだと思います。
仕事は、本当に「つらい時間」なのだろうか
日本では時々、
- 「月曜日がつらい」
- 「金曜日の夜が一番幸せ」
- 「仕事は我慢して、休日を楽しむもの」
という話を耳にします。
もちろん、仕事には大変なことがあります。
責任もありますし、一定の緊張感もあります。
でも私は、人生の大きな割合を占める仕事が、ただの「苦痛の時間」になってしまうのは、とても悲しいことだと思っています。
仕事だからこそ得られる楽しさがある
仕事では、
- 自分で考え、工夫する
- 仲間と一緒に何かをつくる
- 誰かに喜んでもらう
- 昨日できなかったことができるようになる
- 結果が出る
- 評価される
- 報酬が上がる
という経験ができます。
文化祭を仲間とつくり上げたり、部活動で同じ目標を目指したりすることが楽しかったように、同じ目的を持つ人たちと一緒に何かをつくることには、大きな楽しさがあります。
私は、それこそが仕事のおもしろさだと思っています。
お金「だけ」のために働かない
誤解のないように書いておくと、お金は重要です。
ただ私は、働く目的の一番上に、お金だけを置きたくありません。
- 自分が誰かの役に立った。
- 自分の仕事によって、誰かの困りごとが減った。
- 仲間と一緒に一つの目標を達成した。
そうした経験のほうが、長く記憶に残ります。
仕事のおもしろさとは、
自分の能力を使って、誰かに価値を返せること
なのではないでしょうか。
そして、その価値に対する結果として報酬を受け取る。
私は、その順番でありたいと思っています。
組織には、意思決定する人が必要
会社で働いていると、
「なぜこの判断なのか」
と思うこともあります。
もちろん、議論は必要です。
上司だから正しいわけでもありませんし、部下だから意見を言ってはいけないわけでもありません。
むしろ、決める前にはいろいろな意見が出たほうがいい。
ただ、最後には誰かが決めなければなりません。
決めるまでは議論し、決まったら進む
私は、
決めるまでは、しっかり議論する。
決まったら、組織として前へ進む。
という考え方が大切だと思っています。
一度決まった後も、全員がそれぞれ別の方向に進み始めれば、組織は機能しません。
もちろん、法令違反や倫理的に問題のある指示まで従うという意味ではありません。
その前提を守りながら、誰がどこまで決めるのかを明確にする。
それも組織には必要です。
良い企業文化は、みんなでつくる
良い企業文化というと、経営者がつくるもののように聞こえます。
もちろん、経営者やリーダーの影響は大きいでしょう。
でも、それだけではありません。
一人ひとりが、
- 自分の仕事に責任を持つ
- 困っている仲間を助ける
- 必要なことを自分で学ぶ
- 指示される前に考える
- より良くする方法を提案する
そういう行動を積み重ねることで、組織の文化は少しずつつくられていきます。
以前、未経験から仕事を始めた人が、短期間で戦力になり、周囲にも良い影響を与えていく姿を見たことがあります。
印象に残ったのは、経験以上に、仕事に対する積極性と、自分から学ぼうとする姿勢でした。
企業文化とは、会社から与えられるものだけではなく、
そこで働く人たち全員でつくっていくもの
なのだと思います。
自分の人生の時間を、どこに使うのか
会社は、自分の人生すべてではありません。
- 家族もいる。
- 友人もいる。
- 趣味もある。
仕事とは別の人生もあります。
だからこそ、仕事を軽く考えたくありません。
人生の中の、とても大きな時間を使う場所だからです。
会社を選ぶときには、
- 理念を信じられるか
- 仕事に意味を感じられるか
- 一緒に働く人たちを尊敬できるか
- 自分の力をそこで使いたいと思えるか
そして最後に、
「ここなら、自分の人生の時間を使う価値がある」
と思えるか。
それを考えてみてもいいのではないでしょうか。
会社に人生を預けるのではなく、自分の人生に責任を持ったうえで、働く場所を選ぶ。
会社も社員を縛るのではなく、
「ここで働きたい」
と思ってもらえる組織をつくる。
そんな関係が、企業と働く人との理想的な関係なのだと思います。
虹色のタコであるために
そしてこれは、少しだけ「虹色のタコになれ!」にもつながっています。
環境に合わせて自分を変えることと、自分をなくすことは違います。
いろいろな場所で色を変えられるからこそ、
自分は何を信じて、どこで力を使うのか。
その「頭」の部分だけは、自分で持っていたいと思います。


コメント