そのデザインは事実(根拠)に基づいているか

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そのデザインは事実(根拠)に基づいているかdesign

デザイナーは様々なところからデザインのフィードバックを受けると思います。フィードバックを受けてデザインを修正したり改善したり。もちろん、依頼者や会社の社長、お客様からの要望などには応えなくてはなりません。

ここでいうデザインフィードバックとは、先輩からもしくはデザイナーと名乗っている人からのフィードバックです。また、デザインフィードバックをする際にも気をつけなくてはなりません。

こんな人からデザインのフィードバックを受けてはならない

では、どういう人のフィードバックは受けてはならなのか

結論から先にいうと、主語が自分の人です。

主語が自分なんて当たり前って話ではなく、デザインの話上、デザインの視点が自分、主語が自分の人ってことです。

わかりやすい例を出します。私は面接をする機会が多いのですが、主語が自分の方が結構いるなと感じます。

私:このボタンの大きさってどうやって決めたのですか?

応募者:押しやすい大きさを考え、お客様のことを考えこの大きさにしました。

私:それはそうですよね。お客様のことをガン無視してつくりましたなんてデザイナーはいませんよね。この高さにした根拠ってありますか?

応募者:押しやすいだろうなとおもってこのくらいの大きさがあったほうが良いかなと思ってこうしました。

私:押しやすいと判断したのは、誰ですか?

応募者:私です。

私:つまり自分が押しやすいと思う大きさのしたのですね?

応募者:そうですね。

こんな感じです。また別の例では

私:なぜ前の会社を退職して他に行こうと考えたのか差し支えなければお聞かせ願えますか? (こんなストレートにはいいませんが。)

応募者:自分のデザインの意見が通らないのです。

私:例えばどのようなことですか? (心の中では、そんなことってあるのですか? ビジネス上改善が見込めるデザインを拒否する会社なんてあるんですかね。)

応募者:トップページがバナーだらけになってしまい、バナーを全部取りましょうと提案したのですが、却下されました。こんなごちゃごちゃしたトップページかっこ悪いですよね。

私:かっこ悪いと思っているのは誰ですか

応募者:私です。

私:なぜその意見が却下されたか考えてみましたか?

応募者:会社の人はデザインを知らないのです。

リニューアルを提案したのに却下されたとか、そうした話も聞きます。綺麗にしたい、カッコよくしたい。しかし、それは主語が自分なのです。ビジネス上そんなことが通るはずがありません。

結構な数で、こうしたデザイナーが存在すると私は考えています。

個人的には、こう思うとか、個人的にかっこいいとか悪いとかと言っちゃう人です。

もちろん、依頼者やお客様のそうした意見は聞くべきです。むしろ、参考にしたいので、なぜそう思ったのか詳しく教えてくださいというべきです。

しかし、作る側の意見として、主語が自分になっている人は注意が必要です。

デザイナーが先輩デザイナーからフィードバックを受けている時に、ちゃんと体系的に知識としてのフィードバックをもらっていますか? 個人的にこっちのほうがいいなんて言われていませんか? 

個人的にっていう言葉を使っていい人は、その道のプロの方でなければなりません。エンジニア視点からこれは実装しにくいとか、SEOのプロの視点としてこの構造のほうが良いとか。

そうしたことで使う個人的ならまだ良いのですが、完全になんの知識もなくそう言っている人は結構いるのではないかと感じます。

なぜならデザインは誰でも口の出しやすいものだからです。

また、基礎も知らないのに、インターネットやブログなどで見た浅いデザイン知識で話をしちゃったりする人もいるでしょう。

面接の場面だけでなく、社内で、AパターンとBパターンをみんなに見てもらって意見を聞こう、それで多数決で決めようなんてこともあるようです。もしそうするのであれば、しっかりとユーザビリティテストケースの勉強をした上で行ったほうがよいと思います。

例えば、デザインができて、社内でわいわいこれが良いだのここはこうしたほうがよいだのという個人の好みの意見が飛び交い、まとめることができないなんてことはないでしょうか。しまいには、事情や背景を知らない社員に意見をもらって、それぞれバラバラの回答が来るなんてことも。そのうち、言われたことをそのまま作ったほうが早いし、効率的で出来上がったけど、誰もハッピーになれないなんてことも良く聞きます。

ターゲットでもなく、背景や目的も知らない人に表面のデザインを見せて、どう思いますか? なんて聞いても見た目の感想しか聞けません。

それか、ここでもまた、急にデザイナーにでもなった気分にでもなり、インターネットやブログなどで見た浅いデザイン知識で話をしちゃったりする人もいるでしょう。

でも、こいう人はしかたないのです。なぜなら、デザインは目に見えるもの触れれるものなので、誰でも意見や感想をいうことができます。このデザインはかっこいいとか、自分の好みだとか、色が嫌いだとか好きだとか。

それは、一般の方が言うにはなんの問題もありません。しかし、作る側、サービスを提供する側がそれではいけません。

また、教える側、教えられる側がこんな感じなら、それはデザインを知らない人ということになります。

デザインは、自分の承認欲求を満たすものではありません

依頼者が喜ぶか、その先のお客様が迷わずスムーズに使えるか、ビジネスやプロジェクトに貢献できるか、企画内容を引き出せるインターフェースになっているかです。自分は関係ないです。個性を出したいなら趣味でやるべきです。

どれだけ体系的にデザインの知識を取り入れ、誰よりも設計や情報の可視化が得意かがデザイナーだと考えます。相手のためのものです。考えたらビジネスはすべてそうでなくてはなりません。

そうした主語が自分の人、または、そのフィードバックは合っているかどうかを見抜く方法を教えます。

ずばり、そのデザインフィードバックは、事実(根拠)に基づいているかです。これは作る側も同じです。

デザインの事実(根拠)の例

  1. 体系的なデザインテクニック(色彩学、構成学、視覚生理学など)
  2. ユーザーテスト(ユーザーインタビュー)※ユーザーテストの学習は必須。
  3. 分析(アナリティクスやサーチコンソール、キーワードサーチなどのツール)
  4. ガイドライン(Appleヒューマンインターフェースガイドラインやマテリアルデザインガイドラインなど)

デザインされたものの真似や、結果論、浅いデザイン知識ではダメです。

文字が見にくい→視認性が良くないとか耳にしますが、可読性、視認性、判読性どこに問題があるかで、色、形、大きさ のどれに問題があるのかわかります。

ターゲットがシニアなので文字が大きければ大きいほど良いというのはド素人。肝心なのは見出しなどのジャンプ率やバランス。もちろんgoogleのガイドラインには最低のフォントサイズも明記されています。

また、行間は1.7ですとか、それも知識が浅い。行間は固定できない。なぜならデバイスが異なるから。つまり過去の経験や狭い視野の上に、ちょっとかじったような一般的なデザイン手法は混乱させるだけです。

もちろん、事実には他にも、たくさんあります。市場の動向、市場ニーズ、技術的なもの。しかし、ここではデザインに絞っています。

なぜが事実(根拠)が必要なのか

これは原則であり、ものには順序があります。型がないのに型破りはできない。根のない木に実はつかないのと同じです。

デザインの事実(根拠)がないのに設計はできないし、フィードバックもできません。

また、根拠のない人がフィードバックをしたがる心理の根底にあるのは、デザインは見た目のことだと思っていることだと考えます。

さいごに

デザインとは、お絵かきをして見栄えを整えることではありません。そのようなものは、メッキと同じです。その場しのぎにすぎません。デザインは機能的でなくてはなりません。

また、事実や根拠がないということは、デザイナーにとって、自分でモノを考えず、自分で意見を述べないことと同じ。自分の意見というのは一個人の感想ではなく、その道のプロとしての知識だと考えます。

ただし、誤解してほしくないのは、デザイナーは、謙虚に耳を傾ける姿勢はとても大事です。

なぜなら、設計者やデザイナーは、知らない人の顔は描けないからです。背景、意図、目的。ここを明確にしないと設計はできません。病名がわからないのに薬を出すようなものです。また、患者から話を聞かないのに病名を決めて薬をだすようなものです。

依頼者、その先にいる使ってもらえるであろうお客様。まずは目の前の依頼者が喜ばないのであれば、その先にお客様にも喜ばれないのではないかと考えます。

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