「知らない人の顔は描けない」デザイン歴20年以上で、私が“センス”より大切だと思うこと|虹色のタコになれ!第12回【番外編】

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「知らない人の顔は描けない」デザイン歴20年以上で、私が“センス”より大切だと思うこと|虹色のタコになれ!第12回【番外編】 design

私が仕事の中で、大切にしてきた言葉があります。

「知らない人の顔は描けない」

デザインの話なのに、なぜ「顔」なのか。

どれだけ絵を描く技術があっても、その人の顔を知らなければ似顔絵は描けません。

私は、デザインも同じだと思っています。

デザインする前に、まず「知る」

Webサイトでも、アプリでも、パンフレットでも、仕事としてデザインするなら、いきなり作り始めることはありません。

まず考えるのは、

  • 誰が使うのか
  • 何に困っているのか
  • 何を伝えたいのか
  • どうなれば成功なのか

ということです。

知らなければ、色も、写真も、文字の大きさも、情報の順番も判断できません。

だから私は、

「知らない人の顔は描けない」

と考えています。

私は、ずっと違う業界をデザインしてきた

振り返ると、私はさまざまな業界のデザインに関わってきました。

アパレルからWebの世界に入り、Yahoo! JAPAN、その後はEC、求人、アプリ、金融、旅行、配食、終活、介護、葬儀など、本当に幅広い領域に携わってきました。

今もフリーランスとして、異なるサービスのデザインに関わっています。

最初から詳しかったわけではない

もちろん、最初からその業界を知っていたわけではありません。

  • だから調べます。
  • 話を聞きます。
  • サービスや競合を見ます。

そして、

「このサービスは誰のためにあり、何を解決するものなのか」

を理解していきます。

デザインするのは、その後です。

「センスがあるからできる」わけではない

デザインは、よく「センス」という言葉で語られます。

もちろん、経験によって身につく感覚はあります。

でも、仕事ではそれだけでは足りません。

  • なぜ、この色なのか。
  • なぜ、この位置なのか。
  • なぜ、この順番なのか。

それを説明する場面がたくさんあるからです。

「なんとなく、こっちの方がいい」

だけでは、仕事として再現することができません。

チームを持って、考え方が変わった

このことを強く意識するようになったのは、デザイナーをマネジメントするようになってからです。

自分一人なら、自分の感覚で判断することもできます。

でも、誰かのデザインにフィードバックするとき、

「私はこっちが好き」

では、相手は次に活かせません。

「なんとなく」を分解する

たとえば、

「この画面、なんだか読みにくい」

と感じたとします。

そこで終わらず、

  • 文字が小さいのか
  • 行間が狭いのか
  • 余白が足りないのか
  • 情報の優先順位が弱いのか
  • コントラストに問題があるのか

と分解していきます。

原因が分かれば、改善できます。

そして、その考え方は別のデザインにも使えます。

それが「虹色のタコ」につながった

この連載では、デザインを見るための考え方を、タコの8本の足に例えてきました。

色彩、構成、視覚生理、タイポグラフィ、情報設計、インタラクション、アクセシビリティ、ガイドラインと改善。

これらは、正解を覚えるためのものではありません。

「なんとなく」を言葉にするための視点です。

そして、タコの「頭」がある

8本の足だけでは十分ではありません。

その前に、

「なぜデザインするのか」

を考える必要があります。

  • 誰のためなのか。
  • 何を解決するのか。
  • どうなれば成功なのか。

それを考えるのが、タコの「頭」です。

結局ここでも、最初の話に戻ります。

知らなければ、目的も決められません。

デザインの主役は、自分ではない

私が多く関わってきたWebサービスや企業のデザインでは、自分を表現することが最優先ではありませんでした。

主役はユーザーです。

自分の好みよりも、

  • 「分かりやすいか」
  • 「迷わず使えるか」
  • 「必要な情報にたどり着けるか」

を考えます。

だから私は、特定のテイストだけを持つのではなく、目的に合わせて変化できるデザイナーでありたいと思っています。

それも「虹色のタコ」という名前に込めた意味の一つです。

AI時代のデザインで、より重要になるもの

今はAIを使えば、文章も画像もデザイン案も短時間で作れるようになりました。

これからは、デザイナーだけでなく、企画職や営業職、エンジニア、経営者など、これまでデザインを専門にしてこなかった人でも、AIを使ってさまざまなものを作れるようになっていくと思います。

私は、それ自体はとても良い変化だと感じています。

ただ、作れることと、良いものを判断できることは別です。

AIが10案、20案と提案してくれたとき、

どれを選ぶのか。
何を直すのか。
なぜ、その案が良いのか。

そこには、人間側の判断基準が必要です。

AIに「もっといい感じに」と伝えることもできます。

でも、その「いい感じ」とは誰にとって良いのでしょうか。

  • 見た目が整っていることなのか。
  • 読みやすいことなのか。
  • 迷わず操作できることなのか。

目的によって答えは変わります。

私は、AIによって制作のハードルが下がるほど、

「何を作るか」以上に、「何を良しとするか」が重要になる

と考えています。

だから「デザインハーネス」を作っています

前回の記事では、「デザインハーネス」という考え方について書きました。

これは、「虹色のタコになれ!」で整理してきたデザインの考え方を、AIと一緒に使える形にしようとしているものです。

AIにデザインを作らせるためだけのものではありません。

AIと一緒に、

  • 「この画面は分かりやすいか」
  • 「情報の優先順位は適切か」
  • 「ユーザーは迷わないか」
  • 「改善するなら、どこから手をつけるべきか」

を考えるための判断基準です。

デザインに詳しくない人にも使ってほしい

私がデザインハーネスを作りたい理由の一つは、デザイナーだけのものにしたくないからです。

  • デザインを依頼する人。
  • 企画を考える人。
  • 資料やWebページを作る人。
  • AIを使って何かを作る人。

そうした人たちが、デザイナーと同じ知識をすべて身につけなくても、

目的と根拠を持ってデザインを考えられる状態

を作れたらと思っています。

実際に使える形で配布したい

この連載は、考え方を知ってもらうために書いています。

でも、読むだけで終わらせたくありません。

そこで、「虹色のタコになれ!」で整理してきた考え方をもとにしたデザインハーネスを、実際にAIで使える形にして配布したいと考えています。

まずは、デザインハーネスの考え方を体験できるものから。

実際にAIとのやり取りの中で使いながら、

「なんとなく」

ではなく、

「なぜそう判断するのか」

を考えられるものにしたいと思っています。

そして将来的には、用途や目的に合わせて、より実践的に使えるデザインハーネスも用意していきたいと考えています。

AI時代の「デザインのものさし」を共有する

AIによって、作ることはますます簡単になります。

だからこそ私は、

判断するための「ものさし」を持つことが、これからのデザインでは重要になる

と思っています。

「虹色のタコになれ!」で書いてきた8本の足と頭は、そのためのものさしです。

そしてデザインハーネスは、そのものさしをAIと一緒に使うための道具です。

まだ試行錯誤の途中ですが、実際に使える形が整った段階で、この連載でも配布について紹介していく予定です。

ぜひ、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

20年以上やってきても、最初にすることは同じ

デザインの仕事に関わって、20年以上になります。

使う道具はずいぶん変わりました。

紙からWebへ。

PhotoshopやIllustratorからFigmaへ。

そして今はAIも使います。

でも、最初にすることはあまり変わりません。

  • 相手を知る。
  • サービスを知る。
  • ユーザーを知る。
  • 課題を知る。
  • 目的を知る。

そこから、デザインが始まります。

「知らない人の顔は描けない」

この考え方だけは、これからも変わらないと思っています。

「虹色のタコになれ!」は、そのための連載です

この連載では、色彩や構成、情報設計など、少し専門的な話もしてきました。

でも、伝えたいことはシンプルです。

デザインを、センスや好き嫌いだけで考えない。

相手を知る。

目的を考える。

そして、自分の判断に理由を持つ。

そのための視点を整理したものが、「虹色のタコになれ!」です。

デザイナーだけでなく、資料を作る人、Webサイトを担当する人、デザインを依頼する人、そしてAIでものづくりをする人にも、何か一つ役立つ考え方があれば嬉しく思います。

デザインに完成形がないように、「虹色のタコになれ!」もまだ完成ではありません。

そしてこれからは、読むだけではなく、実際に使える「デザインハーネス」という形でも、この考え方を届けていきたいと思っています。

これからも、少しずつ続きを書いていきます。

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