第7回では、第6の足である「インタラクション」について書きました。
インタラクションとは、単に画面を動かしたり、派手な演出を加えることではありません。
ユーザーが迷わず理解し、安心して操作し、目的を達成できる体験を設計することです。
今回は、第7の足である「アクセシビリティ」について考えます。
アクセシビリティという言葉を聞くと、
「障がいのある人のための対応」
という印象を持つ人も多いかもしれません。
もちろん、それも大切です。
しかし、私はアクセシビリティを、より多くの人に必要な情報を届けるための考え方だと考えています。
アクセシビリティは、一部の人のためではない
Webサイトやアプリを利用する人は、一人ひとり状況が違います。
- 高齢者。
- 色覚特性のある人。
- 視力が低下している人。
- 一時的に腕を怪我している人。
- 赤ちゃんを抱っこしながら片手で操作している人。
- 騒がしい場所で音を出せない人。
- 強い日差しの中でスマートフォンを見ている人。
- 通信環境が不安定な場所で利用している人。
アクセシビリティとは、こうした多様な利用環境を考え、一人でも多くの人が情報へたどり着けるようにすること考えています。
デザインは、できるだけ多くの人に届いて初めて価値になる
私は、デザインの目的は、
伝えるべき情報をユーザーに届け、理解してもらい、使ってもらうこと
だと考えています。
どれだけ美しいデザインでも、
- 読めない。
- 見えない。
- 操作できない。
- 理解できない。
これでは、その情報は届いていません。
アクセシビリティは特別な機能ではありません。
デザインが本来の役割を果たすための土台です。
白黒だけが正解ではない
アクセシビリティについて調べると、
「白地に黒文字が一番読みやすい」
という説明を目にすることがあります。
確かに、コントラストだけを考えれば、その組み合わせは非常に優れています。
しかし、それだけではデザインになりません。
第2回でも書いたように、色には役割があります。
- 情報を整理する。
- 重要度を伝える。
- 注意を促す。
- 安心感をつくる。
- 信頼感を与える。
- ブランドを記憶してもらう。
- 行動を促す。
つまり、色は飾りではなく、情報です。
だからこそ、アクセシビリティと色彩は対立するものではありません。
読みやすさを確保しながら、色が持つ役割も活かす。
そのバランスを考えることが大切です。
すべてを同じにすることがアクセシビリティではない
「文字は大きい方が読みやすい」
これも間違いではありません。
しかし、スマートフォンですべての文字を極端に大きくすると、スクロール量が増え、かえって読みにくいと感じる人もいます。
つまり、
「誰にでも同じものを提供すること」がアクセシビリティではないと考えます。
ターゲットユーザーや利用環境を理解し、その人たちが使いやすい設計を考えること。
それがアクセシビリティです。
行政サイトのように幅広い年代が利用するサービスでは、文字サイズを変更できる機能や、配色を選べる機能が役立つこともあります。
目的によって最適な設計は変わります。
ガイドラインは、ユーザーを守るためにある
私は実務でも、Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)の考え方を取り入れてきました。
例えば、文字と背景のコントラスト比。
色だけで情報を伝えないこと。
キーボードでも操作できること。
こうした基準は、ルールを守るためにあるのではありません。
ユーザーが情報を受け取りやすくするためにあります。
ガイドラインはデザイナーを縛るものではなく、「より多くの人に情報を届けるための知恵」
だと私は考えています。
私自身も実務では、WCAG 2.1 AAを基準に、文字と背景のコントラストや配色設計を行ってきました。
ガイドラインを満たすこと自体が目的ではありません。
一人でも多くの人が迷わず情報を受け取り、安心して利用できること。
そのための基準として、WCAGの考え方を設計に取り入れてきました。
アクセシビリティは、UXにもつながる
アクセシビリティを高めることは、障がいのある人だけを助けることではありません。
- 読みやすい文字
- わかりやすいナビゲーション
- 十分なコントラスト
- 迷わない導線
これらは、多くのユーザーにとって使いやすさにつながります。
つまり、アクセシビリティはUX(ユーザー体験)の土台でもあります。
一部の人のための設計ではなく、多くの人にとって使いやすい設計を目指すこと。
その積み重ねが、より良いサービスにつながります。
第7の足としてのアクセシビリティ
アクセシビリティとは、特別な対応ではありません。
より多くの人に、必要な情報を届けるための考え方です。
- 色彩
- 構成
- 視覚生理
- タイポグラフィ
- 情報設計
- インタラクション
これまで積み重ねてきた考え方は、すべてアクセシビリティにもつながっています。
一人でも多くの人が迷わず情報を見つけ、理解し、安心して行動できること。
それが、私が考えるアクセシビリティです。
デザインとは、一部の人のためのものではありません。
必要な情報を、必要としている一人でも多くの人に届けること。
そのための考え方こそが、アクセシビリティなのだと私は考えます。
次回予告:第8の足「ガイドライン/改善」
次回はいよいよ最後の足、「ガイドライン/改善」です。
ガイドラインは、デザインを縛るためのルールではありません。
これまで学んできた8つの考え方をチーム全体で共有し、継続的に改善していくための共通言語です。
「虹色のタコ」の8本の足も、いよいよ最後の一本になります。



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