第5回では、第4の足である「タイポグラフィ」について書きました。
文字は、飾りではなく、情報を届けるための設計です。
可読性、視認性、判読性を考え、書体や文字サイズ、行間、字間、コントラストを目的に合わせて調整する必要があります。
今回は、第5の足である「情報設計」について考えます。
情報設計とは、情報をただ並べることではありません。
読み手が必要な情報を迷わず見つけ、理解し、次の行動に進めるように整理することです。
Webサイト、ランディングページ、アプリ、パンフレット、資料。
どの媒体でも、情報設計はとても重要です。
なぜなら、ユーザーはすべてを丁寧に読んでくれるわけではないからです。
ユーザーは、読まない前提で考える
作り手は、どうしても「ちゃんと読めばわかる」と考えがちです。
しかし、ユーザーは忙しいです。
多くの場合、文章を最初から最後まで丁寧に読んではくれません。
自分に関係があるのか。
欲しい情報があるのか。
信頼してよいのか。
次に何をすればよいのか。
こうしたことを、短い時間で判断しています。
だから、情報設計では「読んでもらう」ことを前提にしすぎてはいけません。
重要なのは、読まなくても大枠が伝わり、読めばさらに理解できる構造にすることです。
見出しだけでも流れがわかる。
最初に結論がある。
必要な情報が探しやすい。
次の行動がわかる。
こうした設計が、ユーザーの理解と行動を助けます。
重要な情報は、先に出す
情報設計でまず大切なのは、重要な情報を先に出すことです。
- 何のサービスなのか。
- 誰のためのものなのか。
- 何が解決できるのか。
- なぜ今見る必要があるのか。
- 次に何をすればよいのか。
これらが後ろの方に隠れていると、ユーザーはそこまで到達する前に離れてしまいます。
特にランディングページでは、冒頭が重要です。
下まで読めば良さがわかる。
詳しく見れば価値が伝わる。
説明を全部読めば理解できる。
それでは遅い場合があります。
最初に要点を伝え、詳細はその後で補足する。
これは、ユーザーの負担を減らすための基本です。
見出しは、読むための道しるべ
見出しは、単なる飾りではありません。
読み手にとっての道しるべです。
見出しを見れば、そこに何が書かれているのかがわかる。
見出しだけを追っても、全体の流れがつかめる。
本文を読むべきかどうか判断できる。
これが良い見出しです。
逆に、見出しと本文の内容が合っていないと、読み手は混乱します。
「料金について」と書いてあるのに、実際にはサービスの特徴が書かれている。
「導入の流れ」と書いてあるのに、申し込み方法がわからない。
「よくある質問」と書いてあるのに、不安に答えていない。
こうしたズレは、読み手の信頼を下げます。
情報設計では、見出しと内容を一致させることが大切です。
メンタルモデルに沿って情報を並べる
人は情報を受け取ると、頭の中で「これはこういうことだろう」と自分なりの理解を作ります。
これをメンタルモデルと呼びます。
たとえば、サービスサイトを見たとき、ユーザーは無意識にこう考えます。
- これは自分向けのサービスなのか。
- 何ができるのか。
- いくらかかるのか。
- 安心して申し込めるのか。
- 申し込み後はどうなるのか。
この理解の流れに合った順番で情報が並んでいれば、ユーザーはスムーズに読み進められます。
しかし、順番がズレていると、理解に負荷がかかります。
料金を知りたいのに見つからない。
申し込み前に不安を解消したいのに説明がない。
そもそも何のサービスかがわからないまま、細かい機能説明が続く。
これでは、ユーザーは途中で離れてしまいます。
情報設計とは、読み手の頭の中の流れに合わせて情報を並べることでもあります。
短期記憶に負担をかけない
人間が一度に処理できる情報量には限りがあります。
- 情報が多すぎる。
- 文章が長すぎる。
- 選択肢が多すぎる。
- 関係のない情報が混ざっている。
こうした状態は、読み手の短期記憶に負担をかけます。
特に、最後まで読まないと意味がわからない文章は、理解しづらくなります。
たとえば、主語と述語の間に多くの情報を挟みすぎると、読み手は文のゴールを見失います。
だから、文章はできるだけシンプルにする必要があります。
1文1メッセージにする
1つの文に、複数の内容を詰め込みすぎない。
伝えたいことを、1つずつ分ける。
これだけでも、文章はかなり読みやすくなります。
並列する情報は、形を揃える
特徴、料金、手順、メリットなど、並べて見せる情報は表現を揃える。
言葉の形や順番を揃えることで、比較しやすくなります。
これは文章の問題であると同時に、情報設計の問題でもあります。
情報は、まとめて構造化する
情報設計では、情報を分類し、まとまりを作ることも重要です。
- 関係のある情報をまとめる。
- 関係の薄い情報は分ける。
- 優先順位をつける。
- 階層を作る。
これは第3回で書いた「構成」ともつながります。
情報が整理されていなければ、どれだけ色や文字を整えても伝わりません。
たとえば、ランディングページであれば、
- 誰向けのサービスか。
- 何が解決できるのか。
- 選ばれる理由は何か。
- 導入の流れはどうか。
- 料金はいくらか。
- よくある不安は何か。
- 次に何をすればよいか。
こうした流れを考える必要があります。
情報をただ並べるのではなく、読み手が理解しやすい順番に組み立てる。
それが情報設計です。
デザインの目的は、情報を届けて使ってもらうこと
情報設計は、見た目だけの話ではありません。
- 伝えるべき情報を、ユーザーの目に届ける。
- 見てもらう。
- 理解してもらう。
- 使ってもらう。
- 行動してもらう。
そのための土台です。
色彩、構成、視覚生理、タイポグラフィ。
これまで扱ってきた要素も、すべて情報設計とつながっています。
色は、情報の役割を伝える。
構成は、情報の優先順位を作る。
視覚生理は、人の見え方に合わせる。
タイポグラフィは、文字情報を読みやすくする。
それらを統合して、ユーザーが迷わず理解できる形にする。
それが情報設計です。
第5の足としての情報設計
情報設計とは、情報をたくさん載せることではありません。
読み手が必要な情報を、必要な順番で理解できるようにすることです。
ユーザーは、すべてを読んでくれるわけではありません。
だからこそ、見出し、順番、分類、文章量、導線を設計する必要があります。
- 「ちゃんと書いてある」では不十分です。
- 見つけられなければ、伝わっていない。
- 理解できなければ、使われない。
- 行動できなければ、目的は達成されない。
これが、私が考える「第5の足:情報設計」です。
次回予告:第6の足「インタラクション」
次回は、第6の足である「インタラクション」について考えます。
情報を理解したユーザーが、次にどう行動するのか。
ボタン、フォーム、ナビゲーション、操作の流れをどう設計するのか。
次回は、見るだけでなく、使ってもらうためのデザインについて考えていきます。





コメント