第6回では、第5の足である「情報設計」について書きました。
情報設計とは、情報を並べることではなく、読み手が必要な情報を迷わず理解し、次の行動へ進めるよう整理することです。
今回は、第6の足である「インタラクション」について考えます。
インタラクションとは「相互作用」という意味です。
ユーザーが操作し、それに対してシステムが反応する。
Webやアプリでは、その一連のやり取りを指すことが多い言葉です。
しかし、私はインタラクションをもっと広い意味で考えています。
それは、人と人、人とサービスが、お互いに理解し合う体験そのものです。
インタラクションとは、動きを作ることではない
インタラクションデザインについて調べると、
- ボタンを押したときのアニメーション
- マイクロインタラクション
- スクロールエフェクト
- パララックス
- 気持ちの良い動き
こうした内容が多く紹介されています。
もちろん、それらもインタラクションを構成する要素です。
しかし、それは目的ではなく手段です。
動きを付けることがインタラクションではありません。
ユーザーが迷わず理解し、安心して操作し、目的を達成できる体験を設計すること。
私は、それがインタラクションの本質だと考えています。
インタラクションは、依頼者との対話から始まる
私は、インタラクションは画面を作り始める前から始まっていると考えています。
まず必要なのは、依頼者とのコミュニケーションです。
- 誰を助けたいのか。
- どんな課題を解決したいのか。
- なぜ、このサービスが必要なのか。
ここを理解しないまま画面を作っても、本当に必要な体験は設計できません。
だから私は、ヒアリングを何より大切にしています。
ユーザーとの対話は、画面の中で続いている
ユーザーは、ボタンを押すたびに、サービスと対話しています。
- 「ここを押せばいいのかな?」
- 「このボタンで申し込みになるのかな?」
- 「ちゃんと送信できたのかな?」
- 「次は何をすればいいのかな?」
こうした不安が少しでもあると、ユーザーは迷います。
インタラクションとは、その迷いを減らしていくことでもあります。
- 押したら反応が返ってくる。
- 処理中であることがわかる。
- 完了したことが伝わる。
- 次に何をすればいいかが自然にわかる。
こうした小さな積み重ねが、安心して使えるサービスにつながります。
派手な演出が、良い体験とは限らない
- 画面が大きく動く。
- スクロールするたびにアニメーションが始まる。
- ボタンが派手に光る。
見た目としては印象的かもしれません。
しかし、それが本当に必要でしょうか。
例えば、アーティストのサイトやブランドサイトのように、世界観を楽しむことが目的なら、大胆な演出が価値になることもあります。
一方で、病院、行政、保険、終活、介護などのサイトではどうでしょう。
ユーザーが求めているのは、演出ではありません。
必要な情報を、迷わず見つけ、安心して行動できることです。
目的が違えば、良いインタラクションも変わります。
良いインタラクションは、意識されない
私は、良いインタラクションとは、
「操作したことを意識させないこと」
だと考えています。
- 自然に押せる。
- 自然に読める。
- 自然に申し込める。
- 自然に目的を達成できる。
- 使い終わったあとに、
- 「使いやすかった。」
そう感じてもらえれば十分です。
逆に、
- 「このアニメーションすごい。」
- 「動きがおもしろい。」
という印象だけが残ってしまうなら、本来の目的から離れてしまっているかもしれません。
これまでの5本の足が、インタラクションを支えている
インタラクションは、突然生まれるものではありません。
- 色彩が、重要な情報を伝える。
- 構成が、優先順位を作る。
- 視覚生理が、人の見え方を理解する。
- タイポグラフィが、文字を読みやすくする。
- 情報設計が、理解しやすい流れを作る。
これらすべてが組み合わさって、初めて良い体験になります。
つまり、インタラクションは独立した技術ではなく、これまで積み重ねてきた5本の足を、ユーザー体験として完成させる役割なのです。
第6の足としてのインタラクション
インタラクションとは、動きを付けることではありません。
演出を増やすことでもありません。
ユーザーが迷わず理解し、安心して操作し、目的を達成できるように設計することです。
私は、デザインとは見た目を作る仕事ではないと考えています。
- 困っている人に必要な情報を届けること。
- 安心して使ってもらうこと。
- そして、「助かった」と思ってもらうこと。
その体験を設計することこそが、インタラクションの本質だと考えています。
次回予告:第7の足「アクセシビリティ」
次回は、第7の足である「アクセシビリティ」について考えます。
アクセシビリティとは、「障がいのある人のための対応」だけではありません。
年齢や環境、利用する端末や状況に関係なく、できるだけ多くの人が情報にたどり着き、利用できるようにするための考え方です。
デザインは、一部の人のためではなく、一人でも多くの人に情報を届けるためにあります。





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