「虹色のタコになれ!」 感覚ではなく、目的と根拠で考えるデザイン論 【第4回】第3の足:視覚生理

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「虹色のタコになれ!」 感覚ではなく、目的と根拠で考えるデザイン論 【第4回】第3の足:視覚生理 「虹色のタコになれ!」 感覚ではなく、目的と根拠で考えるデザイン論
【第4回】第3の足:視覚生理

第3回では、第2の足である「構成」について書きました。

構成とは、情報をきれいに並べることではなく、
情報の優先順位を決め、見る人が迷わず理解できるようにすることです。

今回は、第3の足である「視覚生理」について考えます。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば、
人間の目や脳が、どのように情報を見て、処理しているのかという話です。

デザインは、見た目を整えるためだけのものではありません。
伝えるべき情報を、ユーザーの目に届け、見てもらい、使ってもらうためのものです。

だからこそ、デザイナーは人間の見え方を知る必要があります。

ユーザーは、すべての情報を見ているわけではない

Webサイトやアプリ、パンフレットに情報を載せたとしても、
それがユーザーに見られていなければ、存在しないのと同じです。

「ちゃんと書いてあります」
「ページの下に載せています」
「メニューの中に入っています」

作る側はそう思っていても、ユーザーが見つけられなければ、それは伝わっていません。

デザインで大切なのは、情報を置くことではありません。
必要な情報を、必要な人に、必要なタイミングで見つけてもらうことです。

Webは、短い時間で判断される

ユーザーは、Webサイトをじっくり読んでから判断してくれるとは限りません。

多くの場合、
「自分に関係がありそうか」
「欲しい情報がありそうか」
「信頼できそうか」
を短い時間で判断しています。

特にトップページやランディングページは重要です。

下層ページにどれだけ良いコンテンツがあっても、最初の画面で「わかりにくい」「関係なさそう」「探しにくい」と思われれば、ユーザーは去ってしまいます。

トップページは、単なる入口ではありません。
ユーザーに対して、
ここにあなたの必要な情報があります
と短時間で伝える場所です。

人間の情報処理能力には限界がある

人間は、目に入った情報をすべて同じように処理しているわけではありません。

一度に理解できる情報量には限りがあります。
情報が多すぎると、ユーザーは迷います。

メニューが多すぎる。
ボタンが多すぎる。
見出しが多すぎる。
装飾が多すぎる。
すべてが同じ強さで並んでいる。

こうなると、ユーザーは何を見ればよいのかわからなくなります。

だから、情報を整理する必要があります。

まとめる。
減らす。
優先順位をつける。
余白をつける。
強調する。

これは見た目の問題ではなく、人間の情報処理能力に合わせるための設計です。

中心視と周辺視を知る

人間の視覚には、大きく分けて「中心視」と「周辺視」があります。

中心視は、読んだり細かく見るための視野

中心視とは、焦点を合わせて見ている部分です。

文字を読む。
ボタンのラベルを見る。
細かい図形を確認する。

こうしたときに使っているのが中心視です。

つまり、読ませたい情報や、確実に理解してほしい情報は、中心視で追いやすい形にする必要があります。

文字が小さすぎる。
行間が詰まりすぎている。
視線の流れがバラバラ。
重要な情報が埋もれている。

これでは、ユーザーは情報を読み取りにくくなります。

周辺視は、全体感や動きを拾う視野

一方、周辺視は、焦点を合わせている場所の外側にある視野です。

新聞を開いたときに全体をざっと見る。
テレビを見ているときに、周りの動きもなんとなく感じる。
焦点を合わせていない場所の動きやちらつきに気づく。

これが周辺視です。

周辺視は、細かい文字を読むことには向いていません。
しかし、全体の印象や動き、ちらつきには敏感です。

そのため、画面の周囲に動く広告や点滅する要素が多いと、ユーザーは無意識に負担を感じます。

動くものは、思った以上に視線を奪う

Webサイトでは、動きのある要素がよく使われます。

スライダー。
動画広告。
点滅するバナー。
自動で切り替わる画像。

もちろん、動きが悪いわけではありません。
注意を促したり、状態変化を伝えたりするために、動きが有効な場面もあります。

しかし、意味のない動きが多すぎると、ユーザーの視線を奪います。

集中しにくい。
疲れる。
情報を見落とす。
どこを見ればよいかわからなくなる。

動きは、目立たせるための装飾ではなく、目的を持って使うべきものです。

明暗の差は、情報を見つけやすくする

「目立たせたい」と考えると、色だけを変えようとしがちです。

赤にする。
青にする。
黄色にする。

しかし、色を変えても、背景との明るさの差が弱ければ見つけにくいことがあります。

背景と文字の明るさの差。
ボタンと周囲の要素のコントラスト。
重要な情報と補足情報の強弱。

こうした明暗の設計は、視認性や可読性に大きく関わります。

色は第1の足。
構成は第2の足。
そして視覚生理を知ることで、色や構成をより根拠を持って使えるようになります。

シンプルとは、ただ削ることではない

情報が多いと見づらい。
だからといって、ただ削ればよいわけではありません。

シンプルにするとは、少なくすることではなく、必要なものを正しく選ぶことです。

何を残すのか。
何をまとめるのか。
何を目立たせるのか。
何を動かさないのか。
どの順番で見せるのか。

それを判断するためには、目的の理解と知識が必要です。

私は、シンプルとは削ぎ落としではなく、
知識を積み重ねたうえでの選択だと考えています。

ユーザー視点ではなく、ユーザーを知ること

「ユーザー視点でデザインしています」

この言葉はよく聞きます。

しかし、それだけでは十分ではありません。
大切なのは、ユーザーを考えることではなく、ユーザーを知ることです。

誰に届けたいのか。
何に困っているのか。
何を知りたいのか。
どんな状況で見るのか。
どんな行動につなげたいのか。

そして、そのユーザーが情報をどう見て、どう理解し、どう判断するのか。

視覚生理を学ぶことは、ユーザーを知ることの一部です。

第3の足としての視覚生理

視覚生理は、少し専門的に聞こえるかもしれません。

しかし、デザインをするうえでとても重要な考え方です。

人はすべての情報を見ているわけではない。
人は一度に多くの情報を処理できるわけではない。
人の目には、中心視と周辺視という役割の違いがある。
明暗や動きは、思った以上に認識に影響する。

こうしたことを知ると、デザインの判断に根拠が生まれます。

なぜ文字を大きくするのか。
なぜ余白をつけるのか。
なぜ情報をまとめるのか。
なぜ動く要素を減らすのか。
なぜコントラストをつけるのか。

それを説明できるようになります。

デザインは、センスだけで決めるものではありません。
人間の見え方を理解し、目的に合わせて情報を届けるための設計です。

これが、私が考える「第3の足:視覚生理」です。

次回予告:第4の足「タイポグラフィ」

次回は、第4の足である「タイポグラフィ」について考えます。

文字は、置けば読まれるわけではありません。
書体、サイズ、行間、字間、太さ、余白によって、読みやすさも印象も変わります。

次回は、文字を飾りではなく、情報を届けるための設計として考えていきます。

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