AI時代のデザインとは?「感覚」を「判断基準」に変えるデザインハーネス|虹色のタコになれ!第11回【デザインハーネス】

スポンサーリンク
AI時代のデザインとは?「感覚」を「判断基準」に変えるデザインハーネス|虹色のタコになれ!第11回【デザインハーネス】 design
AI時代のデザインとは?「感覚」を「判断基準」に変えるデザインハーネス|虹色のタコになれ!第11回【デザインハーネス】

これまで「虹色のタコになれ!」では、デザインを感覚やセンスだけで考えるのではなく、目的と根拠から考えるための方法を紹介してきました。

色彩、構成、視覚生理、タイポグラフィ、情報設計、インタラクション、アクセシビリティ、そしてガイドラインと改善。

私はこれらを、タコの8本の足にたとえています。

でも、ここまで書いてきて、ひとつ思うことがあります。

この考え方は、人間だけが使うものなのだろうか。

いま、文章も画像もWebサイトも、AIを使えば驚くほど短い時間で作れるようになりました。

では、これからデザインの知識は必要なくなるのでしょうか。

私は、むしろ逆だと思っています。

AIで「作ること」が簡単になればなるほど、何を基準に判断するのかが、これまで以上に重要になるからです。

AIは作れる。でも、何を基準に作るのか

たとえばAIに、

「高齢者向けのWebサイトを作ってください」

とお願いしたとします。

すると、かなりそれらしいデザインを提案してくれるでしょう。

文字を大きくしたり、ボタンを目立たせたり、優しそうな色を使ったりするかもしれません。

でも、本当に大切なのは、その先です。

  • なぜ、その文字サイズなのか。
  • なぜ、その色なのか。
  • どの情報を最初に見せるべきなのか。
  • そのボタンは本当に見つけやすいのか。
  • 初めて訪れた人でも、迷わず目的を達成できるのか。

つまり、

「作れること」と「適切に判断できること」は、別の問題です。

これは人間にもAIにも同じことが言えます。

そこで考えた「デザインハーネス」

私は最近、この考え方をAIと組み合わせられないかと考えています。

そこで使っている言葉が、

「デザインハーネス」

です。

ここでいうデザインハーネスとは、私が考えている、

AIにデザインの判断基準を持たせるための仕組み

のことです。

「このデザインを作ってください」と指示するだけではありません。

  • 何を目的としているのか。
  • 誰が使うのか。
  • 何を優先するのか。
  • どんな観点から確認するのか。
  • 問題があった場合、何を根拠に改善するのか。

そうした考え方そのものを、AIに渡すイメージです。

プロンプトとは少し違う

AIを使うとき、「プロンプト」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。

たとえば、

  • 「30代女性向けのバナーを作ってください」
  • 「このWebページを改善してください」

といった指示です。

これは、「今回何をしてほしいのか」を伝えるものです。

一方、私が考えているデザインハーネスは、

「それを、どのように考えてほしいのか」

まで決めておくものです。

たとえばWebページを改善するときも、

  • まず目的を確認する。
  • 情報の優先順位を見る。
  • 視線の流れを見る。
  • 文字の読みやすさを見る。
  • 操作が予測できるかを見る。
  • アクセシビリティに問題がないかを見る。
  • そして、なぜ問題なのかを説明してから改善案を出す。

こうした判断の流れをあらかじめ持たせておけば、AIの回答も「なんとなく良さそう」から一歩進みます。

そこで「虹色のタコ」が使える

ここで、これまでの「虹色のタコ」の考え方がつながります。

タコの頭にあるのは、

「なぜデザインするのか」という目的。

そして8本の足には、それぞれ異なる判断基準があります。

  • 色彩
  • 構成
  • 視覚生理
  • タイポグラフィ
  • 情報設計
  • インタラクション
  • アクセシビリティ
  • ガイドライン/改善

AIにデザインを考えてもらうときも、この8本の足から確認していけばいい。

色だけを見るのではなく、情報設計も見る。

見た目だけではなく、操作も見る。

完成した瞬間だけではなく、その後の運用や改善まで見る。

つまり、

「虹色のタコになれ!」で整理してきた考え方そのものが、AIの判断基準になる。

私はそこに、大きな可能性を感じています。

デザイナーのためだけのものではない

そして、デザインハーネスを考えるうえで、もうひとつ大切にしたいことがあります。

それは、

デザイナーだけが使うものにしないこと。

ということです。

  • たとえば、営業担当者がチラシを作る。
  • マーケティング担当者がLPを作る。
  • PMが新しい画面を確認する。
  • 経営者が制作会社から提出されたデザインを見る。

これまでなら、

  • 「なんとなく違う」
  • 「もう少し目立たせたい」
  • 「こっちのほうが好き」

という話になりがちだった場面でも、AIと判断基準を共有できれば、

  • 「この情報が最初に必要なのではないか」
  • 「この色は別の意味でも使われているので、ユーザーが迷うのではないか」
  • 「このボタンは他の要素より重要なのに、視覚的な優先順位が低いのではないか」

といった会話ができるようになります。

デザインに詳しくない人でも、感覚ではなく目的と根拠から考えられる。

これは、私がこの連載でずっと伝えたかったことでもあります。

AIがデザイナーになる、という話ではない

ここは誤解されやすいところかもしれません。

私は、AIにデザインを全部任せればいいとは考えていません。

AIはたくさんの案を出せます。

情報を整理できます。

問題を見つける手助けもできます。

しかし、

  • 誰に何を届けたいのか。
  • 何を大切にしたいのか。
  • その企業やサービスらしさとは何なのか。
  • そして、最後にどの案を選ぶのか。

そこには、人間の判断が必要です。

だから私が考えるデザインハーネスでは、

AIが判断するのではなく、AIと一緒に考える。

という関係を大切にしたいと思っています。

「センスがないからできない」を減らしたい

この連載の最初から、私は「デザインはセンスだけで決まるものではない」と書いてきました。

もちろん、経験や表現力は大切です。

でも、その前に知っておくことがあります。

  1. 誰に伝えるのか。
  2. 何を伝えるのか。
  3. どの順番なら理解しやすいのか。
  4. どの色なら識別しやすいのか。
  5. どんな文字なら読みやすいのか。

ひとつずつ考えていけば、デザインは少しずつ説明できるものになります。

そしてAIは、その「考える作業」を助けることができます。

だから私は、

デザインの知識 × AI

には、とても大きな可能性があると思っています。

AIによってデザインの知識が不要になるのではありません。

むしろ、これまでデザイナーの頭の中にあった判断基準を、より多くの人が使えるようになる。

そんな未来が来るのではないでしょうか。

虹色のタコに、もうひとつ役割を

最初に「虹色のタコになれ!」という言葉を考えたとき、AIのことまで考えていたわけではありません。

どんな業界やサービスにも柔軟に対応しながら、8つの視点を持ってデザインを考える。

その姿をタコにたとえただけでした。

でも、この連載を書き続けていくうちに、少し見え方が変わってきました。

虹色のタコは、

デザイナー自身が身につける考え方であると同時に、AIに渡すことのできる判断基準にもなる。

のかもしれません。

タコの頭には目的がある。

8本の足には、それぞれの知識がある。

AIは、それを使って高速に考える。

そして最後に判断するのは、人間です。

私はそんな仕組みを、これから少しずつ形にしていきたいと考えています。

まだ実験中の部分もたくさんあります。

でも、目指していることはシンプルです。

デザインを、限られた人だけの「センス」にしないこと。

そして、

誰でも目的と根拠からデザインを考えられるようにすること。

これまで10回にわたって書いてきた「虹色のタコになれ!」は、もしかするとそのための土台だったのかもしれません。

AIの時代だからこそ、考えるための「頭」と「8本の足」が必要になる。

私は、そう考えています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました