面接をする機会が多く、大抵の方は、ユーザー視点でデザインしています! とか、ユーザビリティを考慮してデザインしています! ということをおっしゃる方が多数です。デザインブログなどでも、他社の成功事例などを紹介したあとに、ユーザーを意識してデザインすることを心がけましょうとまとめているものがほとんどです。
むしろ、ユーザーをガン無視してデザインしています! なんて人はいません。
面接などで、そうしたことを聞いた場合、私は2つのことを確認しています。
そのユーザーをどうやって知るのか
ユーザーのことを考えながらデザインなんて誰でもできます。今日のランチのことを考えてデザインしているのと同じです。そういう意味でなくても、ユーザーだったらこの色が好きだろう、ユーザーだったらこのフォントサイズが良いだろうなんてことは素人でもできます。
また、お年寄りが多いサイトなので、文字は大きめにしていますなんてことは、デザイナーじゃなくても誰でも言えます。お年寄りが多いので、あえて文字をめっちゃ小さくしましたと答える人はいません。
ユーザーはどうやって知るのか
何も自分でいろいろ調べなくても会社にはお客様のことを知っている方が大勢います。例えば、カスタマーサポートの部署や、営業、マーケティングや広報など。むしろ、デザイナーよりターゲットユーザーを知っているはずです。
その方に聞けば良いのです。カスタマーサポートの方だったら、年齢層や男女といったステータスはもちろん、どうしてこのサービスを求めているのか、何が困っているのか、何の情報が欲しかったのか、などです。
ユーザーを知るということは、属性はもちろんのこと、もっと大事なことが以下の4つだと考えています。
- どのような人に伝えたいのか(誰が困っているのか、誰にとって有益なのか)
- どういう印象を持たせたいか(どう伝わってほしいのか、どう使って欲しいのか)
- それがなぜ重要なのか(今必要なのはなぜか)
- それをすることにより(改善改修することにより)どうなるのか。(どの数値があがるのか)
ヒアリングした結果、上記4つについてまとめてみましょう。そこにブランドイメージなどこちら側から伝えたいことをプラスします。ブランドイメージとは、他の競合商品と差別化して有利なポジションを獲得するための企業戦略ツールだと考えます。
より詳細なカスタマージャーニーマップも必要です。上記のことをさらに細分化させるとよりわかりやすくなります。
また、現状、サイトがあるならば、アナリティクスやサーチコンソールを使えばどんな人がどんなキーワードで訪れてどこが見られていて、どこで離脱しているかくらいは簡単に見れます。
そのユーザーを知ったとしてどういう手法(技法・テクニック)を用いてデザインするのか
これはいろいろあると思います。例えば、
- 情報をグルーピングしてわかりやすくレイアウトする
- 1画面内の構成要素を絞る
- ビジュアル、色、文字でデザインを統一する
- 視覚的な要素で視線を誘導する(右脳で視覚的に感じられるものにする)
- 内容を踏まえてグリッドシステムを使う
- 情報をビジュアライズする
- 余白やホワイトスペースを活用する
- 情報に優先順位をつけメリハリをつける(視線を集中させる)
- 配色設計をする
- 見せたい要素を強調する(ジャンプ率の活用とか)
- 写真をつかって視線を集中させる
- アクセントカラーで誘目性を高める(不規則性を与えて目立たせる)
- 段落や行間、カーニングやトラッキングで文章や文字を読みやすくする
- 情報量と情報の順番を組み立てる
などなど
デザインの手法をあげるとキリがありません。これって、全部、“伝えるべき情報を確実にユーザーの目に届け、見てもらい、使ってもらうこと” そのための手法です。
つまり、デザインの目的は、
伝えるべき情報を確実にユーザーの目に届け、見てもらい、使ってもらうこと
に限ります! むしろ、それしかないです。
上記の手法には、主語が絶対必要です。主語がないと成り立ちません。主語が自分になってしまったり、たぶんこうだろうというものでは、独りよがりのものになり、依頼者を喜ばせるものやその先のユーザーに届くものにはなりません。
誰に見てもらい、使ってもらいたいのか。誰をどうやって知るのか、見てもらうためにはどうすればよいか、使ってもらうためにはどうすればよいか。
単にお絵かきをして見栄えと整えているだけ、知らない人の似顔絵を一生懸命描いているだけではいけません。もちろん、言葉にはできないけど、長年の経験、フィードバックを受けまくった結果そうしたものが身についているという職人さんのようなものでも構いません。
エンジニアが言語や手法を学ぶように、デザイナーも同じく手法についての学習が必要ということになります。伝えるため、伝わるため、使ってもらうための手法は日々研究され実践されています。極めるなんてことは不可能と考えますが、ひとつでも多くの手法を学び、実践し、繰り返し、また、世の中が変化するのと同時にニーズも変化するのでなおさらキリがありません。
ユーザーを考えるのではなく、ユーザーを知ること(できることからやってみましょう。営業さんにヒアリングするとか)
“伝えるべき情報を確実にユーザーの目に届け、見てもらい、使ってもらうこと” そのための手法(技法・テクニック)を身につけること
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