これまで数々のデザイナー面接に携わってきました。面接はあくまでも“お互いを知る場”であり、面接する人も面接される人も対等という立場で臨んでいます。
企業に入社することは、合否ではなく、あくまでもその会社での適性ではないかと考えます。合わないのに無理して面接で背伸びをしても、入社してから続かないし、合わない会社でバリューを発揮するのは難しいと考えます。
そうした視点を持っているのを前提に、デザイナーの適性について私なりの考えをまとめてみました。
お客様のためにデザインしてますってのは当たり前。大事なのはその知識と手法。
食べてくれる人のことを考えて料理します! って言われても、実際にどのような人がどんな好みの味があり、その味にするには、料理の基礎を知っていることが前提であり、その手法を問われます。
デザインもまったく一緒です。先ほどの目の前にいる人を喜ばせる、お客様に伝わり、使ってもらうためには、その気持ちや心構えはもちろんのこと、技術も必要ということです。
漫画ワンピースのDr.くれは の言葉で大好きなセリフがあります。
「いいかい 優しいだけじゃ人は救えないんだ!!! 人の命を救いたきゃ それなりの知識と医術を身につけな!!! 腕がなきけりゃ 誰一人救えないんだよ!!!」
情報を伝え、使ってもらい、喜んでもらうためには、それなりの知識と手法を身につけなければならないのと一緒です。
知識と手法がなければ、誰一人喜ばすことはできません。
ユーザーの視点でデザインしましょう、ユーザーの視点でデザインしています、は当たり前で、その知識や手法をぜひ、面接などでお話ししてみてください。
「助かる」と「儲かる」について
“利益は顧客からもたらされるもの”です。これはビジネス全般に言えることです。目標は利益からスタートするのではなく、“顧客に提供できる価値は何か”から考えなくてはなりません。
デザインの純粋な目的は“助かる”ことにあると考えます。儲かるのは結果です。なので、デザインは“助かる”を実現させるために考え、実現するものです。
もちろん、「儲かる」はとても大事なことです。儲からなければ給与も出ないので働けませんし、会社は社会的責任をしょってるので、儲からないと意味がありません。言いたいのは、「助かる」と「儲かる」の順番を間違えないこと。
儲かるを先に考えると人は近道をしたりしてしまいます。戦略的な近道なら良いのですが、目の前の利益ばかりになると本質的なことを忘れてしまい、結局だれも助からないということになります。
自分のためよりも人のために行動できるか
デザインは自分のためではなく、他人のためにするものです。自分のためにするものはアートだと考えています。
自分がこの色がいいからとか、好きなデザインをしたいなどというのは間違えです。
よく、面接で「今の会社では好きなデザインができないから転職を考えています」という人がいらっしゃいますが、ビジネスにおいてはお門違いだと考えます。
デザイナーはまず、お客様のことを考えて手法を選択し、知識を使ってデザインすることが大事ですが、目の前にいる依頼者を喜ばせることもとても大事です。
依頼者には依頼者の立場があります。サイト上にバナー広告がたくさんあるとして、視覚生理学の情報処理能力の観点から、広告はないほうがいいから削除したらどうか? との提案ではダメだということです。
営業さんが一生懸命営業してとってきた広告であればなおさら。会社が売り上げや利益を出さないと社員の給与も減るし、運営ができなくなってしまいます。
そうした場合は、このたくさんある広告をいかに効率的に必要としているお客様に届けるか、無秩序に並んでいるのであれば、どう整理するかを提案するべきです。
広告は必要のない人にとってはノイズとなりますが、必要な人にとってはコンテンツへの近道となり有益なものになります。
広告の目的は、全員に見てもらうためにいかに目立たせるかではなく、必要な人に的確に有益な情報を届けるかということだと私は考えます。
まとめ
面接などお互いを知る場では、想いだけでなく、学んだ手法や知識を活かした経験や今後伸ばしたい領域をしっかりまとめてに面接に臨むと良いと考えます。面接される側もその企業や面接官がどんな想いがあり、その想いをどういう手法や知識で実現するのかなどを聞いてみるとよりお互いを知ることができるのではないでしょうか。
なかなか質問しずらいとか、どんな質問をしたら良いかなどで迷っていたらぜひ、上記のようなことをお互いに聞き、より自分にあった会社を選ぶ、一緒に働く人を選ぶということをすることをお勧めします。
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