デザインに一番大切なものとは?想いと技術をつなぐ「頭」の話|虹色のタコになれ!第9回【タコの頭】

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虹色のタコになれ!第9回【タコの頭】 design
第9回【タコの頭】

ここまで、7本の足について考えてきました

ここまで、「虹色のタコ」が持つ7本の足について書いてきました。

色彩、構成、視覚生理、タイポグラフィ、情報設計、インタラクション、アクセシビリティ。

どれも、デザインを考えるうえで欠かすことのできない知識です。

残る足は、あと一本。

しかし、その前に、どうしても書いておきたいことがあります。

それは、8本の足を動かす「頭」の存在です。

タコの足は、それぞれ役割を持っている

タコの8本の足には、多くの神経が集まっており、それぞれが周囲の状況に反応しながら動いています。

私は、この特徴がデザインによく似ていると思っています。

色彩には色彩の役割があり、構成には構成の役割があります。

情報設計やアクセシビリティにも、それぞれ異なる考え方があります。

デザインは、一つの知識だけでは成立しません。

複数の視点を持ち、目的や状況に応じて使い分けることが必要です。

しかし、足がそれぞれ優れた力を持っていても、進む方向が決まっていなければ、目的地にはたどり着けません。

  • 誰のためにつくるのか。
  • 何を伝えたいのか。
  • 何を良くしたいのか。

その方向を考えるのが、タコの「頭」です。

「知らない人の顔は描けない」

私がデザインを考えるうえで、大切にしている言葉があります。

「知らない人の顔は描けない」

似顔絵を描くには、まず相手を見る必要があります。

顔立ちだけでなく、表情や雰囲気、その人らしさを知らなければ、本当の意味でその人の顔を描くことはできません。

デザインも同じです。

  • 使う人が、何に困っているのか。
  • どのような状況で使うのか。
  • 何を知っていて、何を不安に感じているのか。

相手を知らなければ、本当に必要なデザインを考えることはできません。

だから、話を聞き、行動を見て、調査や数字から理解を深める必要があります。

しかし、相手について詳しく知るだけでも足りません。

どれだけその人らしさを理解していても、それを線や色として表現する技術がなければ、似顔絵として形にすることはできないからです。

反対に、絵を描く技術がどれほど高くても、相手を見ずに描けば、美しい顔は描けても、その人の顔にはなりません。

知ることと、表現すること。

想いと、技術。

デザインには、その両方が必要です。

想いだけでも、技術だけでも足りない

人を助けたいという想いがあっても、読みづらい文章や使いにくい画面では、相手に届きません。

反対に、色彩や構成の知識が豊富でも、誰のためにつくるのかを考えなければ、独りよがりな表現になることがあります。

見た目は美しくても、必要な情報が見つからない。

新しさはあっても、使う人が迷ってしまう。

数字は改善しても、サービスが大切にしてきたものが失われる。

技術は、目的を実現するための手段です。

その技術を、誰のために、どの方向へ使うのか。

それを判断するのが「頭」なのだと思います。

私にとって、デザインとは人助けです

私は、デザインとは人助けだと考えています。

困っている人が迷わないようにする。

  • 必要な情報へ、できるだけ早くたどり着けるようにする。
  • 難しいことを、少しでもわかりやすくする。
  • 不安を減らし、安心して選べるようにする。
  • できなかったことを、できるようにする。

もちろん、見た目の美しさも大切です。

しかし、その美しさも、人に伝え、理解しやすくし、目的を達成しやすくするためにあるものだと考えています。

だから私は、流行しているからという理由だけで表現を選んだり、自分の好みだけでデザインを決めたりすることを避けたいと思っています。

誰のために、何を良くするのか。

その目的を考えたうえで、色彩や構成、情報設計などの知識を使う。

私にとって8本の足は、想いを形にし、人に届けるための力です。

頭と足は、互いにつながっている

頭が進む方向を考え、足がそれを形にする。

そして、足を動かした結果から得た気づきを、再び頭で考える。

デザインは、その繰り返しによって少しずつ良くなっていきます。

想いだけでも足りない。

技術だけでも足りない。

どちらが上で、どちらが下ということでもありません。

  • 相手を知ろうとすること。
  • 何のためにつくるのかを考えること。
  • そして、それを形にする技術を持つこと。

そのすべてがつながって、初めて人に届くデザインになります。

8本の足を、何のために動かすのか

ここまで紹介してきた7本の足も、次回紹介する最後の1本も、デザインを支える大切な知識です。

しかし、それらを身につけること自体がゴールではありません。

大切なのは、その力を誰のために使うのか。

何を良くするために使うのか。

8本の足を持つだけでは、「虹色のタコ」にはなれません。

その足をどの方向へ動かすのかを考える、自分なりの「頭」が必要です。

そして、その頭にある想いを形にするために、8本の足の知識と技術が必要なのです。

次回予告:第8の足「ガイドライン/改善」

次回は、いよいよ最後の一本です。

テーマは、「第8の足:ガイドライン・改善」。

良いデザインは、一度つくって終わりではありません。

担当者が変わっても、チームが大きくなっても、大切にしてきた考えや判断基準が失われないようにする必要があります。

また、つくったものを正解だと思い込まず、使う人の声や行動を見ながら、改善を続けることも大切です。

頭の中にある想いや考えを、どのようにチームやサービスへ残し、育てていくのか。

次回は、「虹色のタコ」の最後の一本について考えます。

「虹色のタコになれ!」 感覚ではなく、目的と根拠で考えるデザイン論
デザインをセンスや好き嫌いで終わらせず、色彩・構成・視覚生理・タイポグラフィなどを目的と根拠で考える連載。デザイナーだけでなく、非デザイナーにも伝わる実務的なデザイン論です。

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