「虹色のタコになれ」
いきなりそう言われても、何のことかわからないかもしれません。
これは、私が考えるデザインのあり方を表した言葉です。
なぜ、タコなのか。
なぜ、虹色なのか。
まずはそこから説明したいと思います。
なぜ、タコなのか
タコには8本の足があります。
そしてタコは、中央の脳だけですべてを動かしているのではなく、腕にも高度な神経系を持っていると言われています。
本体があり、8本の足がある。
それぞれの足が独立した役割を持ちながら、全体としてひとつの生き物として動いている。
私はこの姿が、デザインの考え方にとても近いと感じています。
デザインも、ひとつの感覚だけで成り立つものではありません。
第1の足:色彩
色は、印象をつくるだけでなく、情報を整理し、注意を促し、ブランドを記憶させる役割を持っています。
第2の足:構成
情報をどの順番で見せるか、何を目立たせるか、どこに余白を置くかによって、伝わり方は大きく変わります。
第3の足:視覚生理
人の目がどのように情報を認識するのか。
視線の流れ、見やすさ、読みやすさを考えることも、デザインには欠かせません。
第4の足:タイポグラフィ
文字は、読むためのものです。
書体、サイズ、行間、字間、太さによって、読みやすさや印象は変わります。
第5の足:情報設計
情報をただ並べるだけでは、伝わりません。
ユーザーが迷わず理解できるように、情報を整理し、構造化する必要があります。
第6の足:インタラクション
Webサイトやアプリでは、見た目だけでなく、操作したときのわかりやすさや気持ちよさも重要です。
第7の足:アクセシビリティ
誰にでも届くこと。
見え方、読みやすさ、操作しやすさに配慮することは、デザインの大切な役割です。
第8の足:ガイドライン/改善
デザインは作って終わりではありません。
ルールを整え、継続的に改善し、品質を保っていくことも必要です。
8つの考え方を、ひとつの目的に統合する
これらは、それぞれ独立した考え方です。
しかし、バラバラに存在しているだけではデザインにはなりません。
色だけが良くても、情報が整理されていなければ伝わりません。
文字が美しくても、読みにくければ意味がありません。
構成が整っていても、ユーザーの行動につながらなければ機能しません。
大切なのは、これらの考え方をひとつの目的に向けて統合することです。
タコのもうひとつの特徴は、柔軟であること
そして、タコにはもうひとつ大切な特徴があります。
それは、柔軟であることです。
タコは、環境に合わせて姿を変えます。
狭い場所にも入り込み、状況に応じて動き方を変えます。
デザインも同じです。
自分はこの表現が好き。
自分はこの色が好き。
このやり方が得意。
前回もこれでうまくいった。
そうした考えに固まりすぎると、目の前の目的や相手を見失うことがあります。
デザインで大切なのは、自分の好みではありません。
誰に届けるのか。
何を伝えるのか。
どんな行動につなげたいのか。
目的が変われば、正解の形も変わります。
だからデザイナーは、タコのように柔軟であるべきだと思っています。
自分の作風に相手を合わせるのではなく、目的に合わせて自分の考え方や表現を変える。
これはデザイナーだけに限った話ではありません。
どんな業種、どんな職業でも、自分の考えに固まりすぎず、目的に合わせて柔軟に変化する力は必要だと思います。
なぜ、虹色なのか
では、なぜ「虹色」なのか。
虹色は、人間が見ることのできる色の世界を象徴しています。
色は、ただきれいに見せるための飾りではありません。
情報を整理する。
注意を促す。
印象をつくる。
ブランドを記憶させる。
感情に働きかける。
色には、さまざまな役割があります。
だから色は、感覚だけで選ぶものではありません。
目的に応じて色を選ぶ。
ユーザーに合わせて色を整理する。
読みやすさや見やすさを考える。
必要であれば、配色ルールを作る。
これが、デザインにおける色の扱い方です。
虹色とは、派手な色を使うことではありません。
さまざまな色の性質を理解し、目的に応じて臨機応変に使い分けられること。
つまり、色彩学を感覚ではなく、根拠として扱うことの象徴です。
「虹色のタコになれ」に込めた意味
「虹色のタコになれ」とは、こういう意味です。
8つの考え方を持つこと。
柔軟に形を変えること。
色を理解すること。
目的に合わせて表現を選ぶこと。
自分の好みだけで決めるのではなく、目的と根拠で考えること。
それが、私がこの言葉に込めた意味です。
デザインは、センスだけで決まるものではない
デザインは、センスだけで決まるものではありません。
もちろん、感覚は必要です。
美しいと感じる力、違和感に気づく力、良いものを見分ける力は大切です。
しかし、その感覚を「なんとなく」で終わらせてしまうと、デザインは主観のぶつけ合いになります。
なぜその色なのか。
なぜその配置なのか。
なぜその文字なのか。
なぜその導線なのか。
それを説明できること。
目的に照らして判断できること。
相手に合わせて形を変えられること。
それが、デザインに必要な力だと私は考えています。
次回予告:センスに見えるものの正体
この連載では、「虹色のタコ」を合言葉に、デザインを感覚ではなく、目的と根拠で考える方法を整理していきます。
次回は、まず最初の前提である、
「デザインはセンスではない」
というテーマについて考えていきます。
センスに見えるものの正体は何なのか。
なぜ、好き嫌いだけでデザインを判断してはいけないのか。
次回から、少しずつ掘り下げていきます。
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